ある日突然血管が閉塞してしまう。。。そんな恐怖があなたや家族を。

高血圧や糖尿病などいわゆる成人病は脳卒中のリスクファクター(危険因子)です。
成人病がなぜリスクファクターになるのか。
それは、動脈硬化を進めてしまうからです。
動脈硬化というと血管が固くなる事を意味しますが、硬くなることは丈夫になるのではなく、脆くなることを意味します。
血管はゴムホースのようなものです。
ゴムホースは柔らかいからこそ役に立ちます。
脆くなった血管は長い間放置されたゴムホースのようなものです。
ひび割れて簡単に水漏れを起こしてしまいます。
また、動脈硬化が進むと血管の内壁のスムーズさが無くなり、血管に狭い所が出来たりもします。
それが酷くなると血管が詰まってしまう事もあります。
血管が詰まるとどうなるか?
実例をお見せしましょう。
ある男性が救急車で受診した時のMRI・MRA所見です。
MRAは正面から見た所見ですが、右には写っている左内頚動脈(緑〇)が左には写っていません。(赤〇)
右内頚動脈が閉塞しています。
MRIでは既に右脳梗塞(黄矢印、白い部分)が出ています。
頸部の段階から右内頚動脈が写っていなかった為、血管撮影を行ったところ、右内頚動脈は頸部で閉塞していました。(黄矢印)
後から分かりましたが、この部分で高度の血管の狭窄があり、ある日突然閉塞したのではないかと思われました。
こういった場合どうするのか。。。
MRIで脳梗塞の所見は認めますが、閉塞した内頚動脈が栄養している脳の部分はもっと広いです。
MRAで右の内頚動脈が写っていない事から、他の血管からの血流の補充も十分とは思われません。
ですから、血流を再開させなくてはもっと大きな脳梗塞になる可能性が高いと考えられます。
そこで、緊急で血管内手術を行い、詰まっている部分を風船で広げたり(血管形成術)、血管を詰めていた血栓を吸い出したり(血栓回収術)を行い、血流を再開させることが出来ました。
右頸部の内頚動脈が再開通しています。(黄矢印)、頭蓋内の頸動脈もきれいに流れ始めています。(右)
今回の例の方は大きな脳梗塞にならずに済みましたが、実際は血管が閉塞してしまうと再開通できるとは限らず、大きな脳梗塞になってしまう事も十分あります。
また、大きな血管が閉塞して、まったく脳梗塞が起こらないという事はほぼありません。
ですから、こういった事が起こらないようにする事がとても大事なんですね。成人病含めて危険因子の治療は脳卒中予防のためにはとても重要なんですね。